事例&レポート

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次世代経営人材 構想力

経営人材はどう育つのか――BBT経営塾の卒塾生が語る「他流試合・失敗・決める覚悟」

BBT経営塾50期記念イベント特別Meetup「変革者の交差点」

経営人材はどう育つのか――BBT経営塾の卒塾生が語る「他流試合・失敗・決める覚悟」
延べ受講者4,000人超。
BBT経営塾では、実在企業の経営課題に向き合い、異業種の受講生との議論を通じて、「自分が経営者ならどうするか」を1年間考え続けます。

修了生からは、こうした経験について「他流試合」「失敗とリカバリー」「決める覚悟」といった言葉が語られています。

管理職として実績を積み、部門運営もできる。必要な情報を集め、筋道立てて提案することもできる。それでも、事業や会社の将来を左右する判断を任せるとなると、不安が残ることがあります。

「本当に、この人に経営を任せられるだろうか」

次世代経営人材の育成では、ここが一つの壁になります。
優秀な管理職を、どうすれば「経営を任せられる人材」へ育てられるのか。

経営では、十分な情報がそろうとは限りません。
何を課題と捉えるのか。何を優先し、何を捨てるのか。
正解が分からない状況でも、最後には誰かが決める必要があります。
では、その力はどう鍛えるのでしょうか。

2026年8月27日、Aoba-BBTは特別Meetup「変革者の交差点」を開催しました。
BBT経営塾が同年10月に第50期を迎えることを記念したイベントです。
当日は、BBT経営塾の現役生や卒塾生に加え、次世代経営人材の育成に関心を持つ人事・人材開発担当者や経営幹部も参加しました。

卒塾生インタビューには、異なる領域で経験を積んできた4名が登壇しました。

幸坂知樹氏
株式会社電通総研 上席執行役員 経営戦略室長

高橋英行氏
ドコモ・サポート株式会社 事業企画部 部長

奥澤慎哉氏
NTTドコモビジネス株式会社 取締役 執行役員 経営企画部長

日高浩太氏
NTTテクノクロス株式会社 IOWNクロスバリュー副事業部長

インタビューでは、BBT経営塾で何を学んだのかに加え、その経験が実務にどう残っているのかを振り返っていただきました。

異業種のクラスメイトとの議論で、何を得たのか。
「自分が経営者ならどうするか」と考え続ける中で、何が変わったのか。
実際に経営や事業の判断を担う立場になったとき、どの経験が活きたのか。

4名の言葉からは、経営人材育成では「何を学ぶか」だけでなく、どのような経験を重ねる機会を設計するかも重要であることが見えてきます。
今回の記事では、卒塾生4名の実体験をもとに、管理職の次に、どのような経験を重ねることが経営人材としての成長につながるのかを考えます。

1. 高橋英行氏が振り返る「他流試合」――自分にはない視点が返ってくる

高橋氏がBBT経営塾で印象に残っていることとして挙げたのが、異業種のクラスメイトとの議論です。

現在のAIとの壁打ちと比べながら、高橋氏は、AIからは平均的な回答が返ってくる一方、経営塾ではクラスメイトから「とがった意見」や、自分にとって聞いたことのない意見が返ってきた、と振り返りました。
ここでいう「とがった意見」は、単に奇抜な意見という意味ではありません。
業界も職種も、経験してきた仕事も違う。だからこそ、自分にはなかった視点から意見が返ってくるのです。

異業種だから、自分の「前提」に気づける

同じ会社や業界で経験を重ねれば、判断のスピードは上がります。
一方で、「この業界ではこうするものだ」「当社ではここまでしかできない」といった前提も共有されやすくなります。
異業種の人との議論では、自分が当然だと思っていた考え方とは違う視点が持ち込まれます。

幸坂氏も、異業種のクラスメイトとの「他流試合」を、BBT経営塾ならではの経験として挙げました。
自分とは異なる前提を持つ人と議論する。その中で、自分の考えが本当に通用するのかを確かめる。

経営人材育成では、「何を学ぶか」だけでなく、「誰と考え、議論する機会を持つか」まで設計することも重要です。異業種との「他流試合」には、社内だけでは得られにくい経験があります。

BBT経営塾50期記念イベント特別Meetup「変革者の交差点」
業界・職種を越えて参加者同士が交流する様子。BBT経営塾50期開講記念 特別Meetup「変革者の交差点」にて。

2. 奥澤慎哉氏が語る「RTOCSは筋トレ」――考えることを習慣にする

BBT経営塾では、実在する企業を題材に、毎週一つの問いに向き合います。

「自分がこの会社の経営者だったら、どうするか」

公開情報を集め、企業が直面している課題を捉える。そこから自分なりの戦略を考え、異なる業界や職種の受講生と議論します。
Aoba-BBTでは、この学習方法を「RTOCS®(Real Time Online Case Study)」と呼んでいます。

奥澤氏が、このRTOCSについて使ったのが「筋トレ」という言葉でした。
役職や経験を重ねるほど、仕事は忙しくなります。一方で、意識しなければ新しい情報を取り入れる機会は減っていく。
だからこそ、毎週違う企業や経営課題について考えることが、思考のトレーニングになったと振り返っています。

数をこなすことで、「考える」を日常にする

高橋氏は、受講中の課題だけではなく、過去のケースにも取り組みました。
通常の課題をこなすだけではなく、自分で数を増やしたのです。

日高氏は、卒塾後もケーススタディを続けています。現在はAIとの壁打ちも取り入れながら、考えること自体が習慣になっていると話しました。

経営判断や構想力は、一度講義を聞けば身につくものではありません。
情報を集め、課題を捉え、自分なりの答えを出す。他者の意見を受けて、もう一度考える。
この反復によって、知識を「知っている」状態から、実際に「使える」状態へ近づけていきます。

「1年は長い」と思っていた。でも、終わってみると短かった

BBT経営塾の受講期間は1年間です。
検討する段階では、「仕事をしながら1年間続けられるだろうか」「1年は長い」と感じる方も少なくありません。
一方、Aoba-BBTでは修了した方から、「始める前は1年は長いと思っていたが、終わってみると短かった」という声をよく聞きます。

経営判断や構想力は、短期間で知識を詰め込めば完成するものではありません。
毎週違う経営課題に向き合う。自分で考え、他者と議論する。そして振り返り、また次の課題に向き合う。

1年間という期間は、知識を増やすためだけの時間ではありません。
経営者の立場で考えることを、習慣に変えていくための時間でもあります。

3. 幸坂知樹氏が語る「失敗」――リカバリーまで練習する

幸坂氏は、研修を「レッスンの場」と捉えています。
レッスンなのだから、たくさん失敗した方がいい。そして、失敗した後の「リカバリーショット」も、練習しなければできるようにはならない。
そのような趣旨の話をしました。

実務では、簡単に失敗させられない

実際の経営では、簡単には失敗できません。
投資判断を誤れば損失が出ます。事業の方向を誤れば、社員や顧客にも影響します。
責任ある立場になるほど、「まず失敗して、そこから学ぶ」という経験を意図的につくることは難しくなります。

しかし、経営人材には、正解が分からない状況でも判断することが求められます。
ここに経営人材育成の難しさがあります。
失敗させにくい。しかし、重要な意思決定を経験しないまま経営を任せるのも難しい。

意思決定の後までを、育成の対象にする

研修の場であれば、自分なりの判断を出すことができます。
異論を受けたら、考え直すこともできます。

そこで重要なのは、「正解だったか、間違っていたか」だけではありません。
何を見落としていたのか。どの前提を疑うべきだったのか。そこからどう立て直すのか。

幸坂氏のいう「リカバリーショット」は、意思決定した後の修正まで経験することの意味を表しています。
経営人材育成では、正しい判断の方法を教えるだけではなく、失敗とリカバリーをどう疑似体験させるかという視点も必要です。

4. 高橋英行氏が語る「伝える力」――正しい戦略だけでは、人は動かない

高橋氏は、ケーススタディへの取り組み方について、もう一つ興味深い経験を語りました。

自分が考えた戦略の内容だけではなく、相手からどのような反応が返ってくるかまで意識していたといいます。
例えば、タイトルや見せ方を工夫する。「面白そうだ」「やってみたい」と思ってもらえるかを考える。
高橋氏は、この経験を実際の経営にもつなげて捉えていました。受講中にグループ1社、卒塾後にもう1社で社長を務め、戦略を考える立場も経験しています。

経営では、「正しさ」だけでは実行されない

実際の経営では、経営者一人が「この戦略が正しい」と考えただけでは、組織は動きません。

なぜ、この方向へ進むのか。なぜ、今これをやるのか。
社員や関係者に理解してもらい、行動につなげる必要があります。

経営人材に必要なのは、答えを出す力だけではありません。
自分の判断を、組織が動く形へ変えていく力も必要です。

経営人材育成でも、分析や戦略立案だけを見るのではなく、他者がどう反応するのかまで経験させる。人に伝え、反応を受け、必要なら伝え方を変える。こうした経験も、実務で人を動かすための準備になります。

5. 日高浩太氏が語る「覚悟」――実務では、研修のようには決められない

研修と実際の経営には、簡単には埋められない違いもあります。
その違いを率直に語ったのが日高氏でした。

第三者の企業を題材にしているときには、思い切った戦略を考えることができる。
しかし、自分が実際に関わる事業について考えると、同じようにはいかない。判断が慎重になり、思わず「置きにいく」。
その経験から、日高氏が経営人材に必要なものとして挙げたのが「覚悟」でした。

「本当に自分が身銭を切るなら、どうするか」

日高氏は、「本当に自分が身銭を切って投資するとしたら、どうするか」というところまで想像して考えることに意味があると話しています。
研修で思い切った判断ができても、実際に自分が責任を負えば、意思決定の重さは変わります。

考えられることと、決められることは違う。
そして、決めることと、その結果を引き受けることも違います。

これは、研修だけで経営人材が完成するわけではないことも示しています。
だからこそ、本番で初めて「決める怖さ」に直面するのではなく、その前に何度も経営者の立場で考えてみる。
自分なら何を選ぶのか。何を捨てるのか。その結果を引き受けられるのか。
そこまで考える経験が、経営を自分事として捉える準備になります。

6. 卒塾後も続く「他流試合」――同じプロトコルで話せる関係

当日は、現役生から卒塾生へ、「卒塾後、同期とはどのような関係が続いているのか」という質問もありました。
そこで語られたのは、必ずしも「卒塾生同士で仕事につながった」という話ばかりではありません。
卒塾後も一緒に学ぶ。情報交換をする。旅行やゴルフをする。別の仕事の場で偶然再会する。
形はさまざまですが、関係は続いていました。

会社が違っても、共通の土台から話せる

その中で印象的だったのが、「同じプロトコルで話せる」という趣旨の言葉です。

会社も業界も違います。
それでも、「自分が経営者ならどうするか」という問いに向き合い、自分なりの答えを出してきた。互いの考えをぶつけた経験もあります。
その共通体験があるからこそ、数年後に再会しても、会社や肩書だけではない土台から議論を始められます。

異業種交流の価値は、単に「人脈が増える」ことだけではありません。
自社の外に、自分とは異なる経験を持ちながら、共通の思考経験を持つ相手がいる。
その関係が、卒塾後も自分の考えを問い直す機会につながっています。

7. 50期を迎える今、あらためて「経営人材を育てる」を考える

BBT経営塾は、2026年10月に第50期を迎えます。
今回、4名の卒塾生の言葉から見えてきたのは、経営人材育成では「何を教えるか」だけでなく、「どのような経験を積ませるか」も重要だということです。

自分にはなかった視点に出会う。何度も考え、自分で判断する。失敗したら、立て直す。
そして、自分なりの判断軸を持ち、最後にはその判断を引き受ける。

管理職として成果を出すことと、経営を任せられることは同じではありません。
その間にある壁を越えるために、自社の次世代経営人材にどのような経験を積ませるのか。

これは、経営者と人事が一緒に考えるべき育成テーマではないでしょうか。

8. 次世代経営人材に、「決める経験」をどう積ませるか

BBT経営塾では、実在する企業を題材にしたケーススタディと、異業種の受講生との議論を1年間繰り返します。
そこで積み重ねるのは、経営者の立場で考え、自分なりの判断を出す経験です。

管理職研修の次に、どのような育成機会を設計するのか。社内だけでは得にくい他流試合をどう取り入れるのか。次世代経営人材に、事業を自分事として考える経験をどう積ませるのか。

こうした課題をお持ちの方は、BBT経営塾のプログラムをご覧ください。

9. 経営人材育成について相談する

育成対象者や現在の人材育成体系によって、必要な経験は異なります。
BBT経営塾が自社の対象者に合うのか。既存の管理職研修や選抜研修と、どう組み合わせるのか。
具体的な育成設計についてもご相談いただけます。

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