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営業一筋30年から社長へ。北國銀行・米谷治彦氏に見る「学習する組織」と集合知の経営実践 [BBT経営塾 50期開講記念 特別対談レポート]
株式会社北國銀行
![営業一筋30年から社長へ。北國銀行・米谷治彦氏に見る「学習する組織」と集合知の経営実践 [BBT経営塾 50期開講記念 特別対談レポート]](https://business.aoba-bbt.com/wp/wp-content/uploads/2026/07/hojin_keieijuku-hokkokubank.jpg)
株式会社北國銀行は、石川県金沢市に本店を置き、地域のリーディングバンクとして活動。常に地域とともに歩むパートナーとして、社会構造の大きな変化に合わせた「新しいことへの挑戦」と「進化」を続けています。
はじめに
本レポートは、BBT経営塾50期開講記念として開催した特別対談セミナー「営業一筋30年から社長へ――『学習する組織』への変革と集合知の経営実践」の内容をもとに構成しています。
登壇したのは、株式会社北國銀行 代表取締役社長の米谷治彦氏です。米谷氏は、1993年の入行以来、長く営業の現場に携わり、2025年に代表取締役社長に就任しました。
ここでは、特別対談セミナーで語られた米谷氏の発言をもとに、BBT経営塾への入塾時の課題認識、BBT経営塾で印象に残っている学び、北國銀行・CCIグループにおける人的資本経営の取り組み、そして学び続けることへの考えを整理します。米谷氏の言葉を手がかりに、学び続けることが個人、組織、地域にどのように広がっていくのかを見ていきます。
1. 入塾時に感じていた課題認識
「私は入行以来、海外勤務の期間を除けば、ずっと営業一筋でしたので、経営企画や銀行全体を俯瞰的に見る経験や機会が、限られていました。そのため、将来このままでいいのかという課題認識がありました」
米谷氏は、BBT経営塾への入塾理由を次のように語っています。
「BBT経営塾に入ることによって、いろんな業界の方々、幹部の方々と交流が図れますし、それぞれの立場でいろんな議論ができるかなと。議論をぶつけ合って、自分自身の論理的な思考力、仮説思考力、質問する力が高まればいいなということで、入塾しました」
米谷氏にとってBBT経営塾は、銀行の外にある視点に触れ、自分自身の考え方を問い直す場でもありました。
2. BBT経営塾で印象に残っている学び
「BBT経営塾に入って思ったことは、毎週RTOCS®(Real Time Online Case Study )を通じて、情報収集能力がとても鍛えられたことです。限られた情報の中で仮説を立てて、判断したり、質問したりする訓練というのは、とても私にとっては貴重だったと思います」
RTOCS®で求められるのは、あらかじめ用意された正解を探すことではありません。
「ひとつの正解が無いため、何回も自分なりの判断をしなければいけない。これはすごく難しいことですけど、一方では面白さがありました」
RTOCS®では、現在進行形の経営課題を題材に、経営者の立場で何を見極め、どう舵を切るのかを考えます。限られた情報の中で自分なりの判断を示し、他者との議論を通じて視点を広げていくことが、米谷氏の語る「正解を探すのではなく、自分なりの判断を繰り返す」学びにつながっています。
3. 塾生同士の議論から生まれる集合知
「塾生の仲間が、それぞれの考えや判断を示してくれる。それを集合知として受け止めることで、自分だけではたどり着かなかった答えが見えてくる。そういう経験が非常に良かったです」
自分だけで考えて答えを出すのではなく、他の塾生の判断に触れることで、別の答えが見えてくる。米谷氏は、その経験を集合知として受け止めています。
「塾の同じクラスのメンバーが、毎週あるRTOCS®の何日か前に、自主的に勉強会をやろうと声を上げてくれて、それに何名かでいつも参加していました。そういう提案をしてくれた塾の仲間には、本当に感謝しかありませんし、そこでの集合知は、自分にもすごく活かされたんじゃないかなと思っています」
講義や課題だけではなく、塾生同士の自主的な勉強会も、集合知を生む場になっていたことが分かります。BBT経営塾では、経営者・経営幹部候補が、現在進行形の経営課題に対して自分ならどう判断するかを考え、異業種の参加者との議論を通じて視点を広げていきます。
BBT経営塾のカリキュラムや法人派遣での活用方法については、資料をご覧ください。
4. 経営者になって活きた、事実を多面的に捉える視点
経営者になってから、BBT経営塾での学びが具体的に活かされた場面はあるのか。
その問いへの回答として、米谷氏は、金利環境の変化を例に挙げています。
「BBT経営塾を通じて、一つの事実を様々な角度から捉え、掘り下げて考えることの大切さを実感しました。
例えば、日銀の政策金利引き上げによって、預金金利が付く世界に入り、金融機関の間では預金獲得競争が起きています。この状況を見て、預金金利を引き上げて預金を獲得すればよい、と判断する経営者もいると思います。」
米谷氏はさらに、その判断が本当に必要なのかを問い直します。
「その一方で、預金残高が減っている金融機関があったとしても、その減少は本当に許容できないものなのか。経営にどの程度影響するのか。二年、三年という時間軸で見たときに、本当に金利を上げてまで預金を取りに行くべきなのか。様々な角度から見ると、金融機関ごとに違った答えが見えてきます」
BBT経営塾での学びが、経営者になってからどう活きているのか。その答えとして示されているのは、金利環境の変化や他社の動きにそのまま反応するのではなく、一つの事実を様々な角度から見て、自社にとっての意味や時間軸を含めて考えることです。
5. 外部環境を理由に立ち止まらないという考え方
一つの事実をどう捉えるかという視点は、地域経済や地方企業を取り巻く環境を見るうえでも重要になります。米谷氏は、銀行員として多くの企業と向き合ってきた経験を、次のように語っています。
「銀行という仕事柄、外部環境を理由に、打開策を見出せなくなった会社をたくさん見てきました。
景気が悪いから、円高だから、円安だから。経営者はどうしても外部環境に原因を求めたくなるのかもしれません。しかし、そこにとどまっていては、状況を変えることはできません」
一方で、逆境の中でも前向きに構想する経営者にも出会ってきたといいます。
「地域の経営者と対話していると、逆境の時こそ前向きに構想を描く経営者にも数多く出会ってきました 。金沢を中心とした北陸を見ると、観光資源もありますし、歴史や伝統的な資源もあります。食べるものも含めて、いろいろな資源があって、この地域には大きな可能性があると感じるようになってきました」
地方を取り巻く現状について、米谷氏はこう続けます。
「地方は人口が減少している。少子高齢化も進んでいる。働く人も減る。経営者の後継者もいない。そういう事実を嘆いていても、しょうがないと思っています。それならそれを受け入れて、どうやってこの地域がサステナブルな成長を遂げていけるかを考える方向に、意識を向けなければならないと思っています」
「幸い、我々のグループとしては、そういうサポートをするためのいろいろなサービスや機能を持ち合わせてきました。外部環境は外部環境として、今できることはできることとして考える。そういう意識は、グループ全体として高まってきていると思います」
米谷氏の言葉から見えてくるのは、地域の課題を悲観材料として見るのではなく、構想の出発点として捉える姿勢です。
6. 北國銀行・CCIグループの人的資本経営
北國銀行を含むCCIグループでは、人的資本経営をどのように実践しているのか。
米谷氏はまず、グループとして大切にしている考え方について話しています。
「CCIは、コミュニケーション、コラボレーション、イノベーションの頭文字です。この言葉を大切にし、コミュニケーションの質が高ければ高いほど、コラボレーションやイノベーションにつながっていくと考えています」
北國銀行を含むCCIグループでは、地域企業を支えるためのサービスや機能を広げています。米谷氏は、その事業戦略を実行するうえで、人材のキャリア自律が重要になると話します。
「これからは、銀行員だけではなく、新しい領域でいろいろな人材が必要になってきます。そのためには、一人ひとりが自分のキャリアを大切にし、自律して成長していくことが必要です。それが、事業戦略を実行する力につながると考えています」
CCIグループでは、2022年からキャリア型人事制度へ移行しています。
「大きな特徴の一つが、キャリアレビューです。従来の業績査定や人事評価を廃止し、定量的なものさしで社員を評価することをやめました。
社員の成長とキャリア自律のために、毎月の1on1や対話を通じて、メンバーに気づきを与える。上司はメンバーの成長をサポートし、メンバーは自分がどうなりたいのか、目指す姿はどこなのかを考えて行動する。そのための仕組みにしています」
報酬制度についても、次のように話しています。
「年功序列を基本的には廃止し、役割や貢献度に応じた報酬制度に移行しました。重視しているのは、人間力、構想力、問題解決力、業務遂行力です。今の役割と価値に応じて報酬を決める形に変更してきました」
キャリア自律を支える仕組みとして、キャリア支援金も導入しています。
「退職一時金を廃止し、毎月前払いする形に変えました。私たちはこれをキャリア支援金と呼んでいます。毎月受け取ることで、そのお金を運用したり、自分への投資に充てたりしやすいようにしています」
人的資本経営は、制度を変えるだけでは終わりません。
CCIグループでは、事業ポートフォリオと人材ポートフォリオを結びつけ、人材がグループ内外で活躍していく流れをつくろうとしています。
「どのようなビジネスをやっていくのかという事業ポートフォリオを考えたうえで、では、どのような人材がどのくらい必要なのかを考える。そこに人事戦略がつながり、育成につながっていきます。
もう一つ掲げているのは、この地域や社会に、ここで成長した人材をどんどん輩出していくことです。グループ内でしっかり学び、仕事をしてきた人材が、地域のお取引先などで活躍し、そこでまた変革を起こしていく。そういう流れをつくりたいと考えています」
社員の挑戦を支える仕組みについても、具体的な取り組みが語られています。
「自社で開発したHRMシステムでは、一人ひとりが掲げたキャリアプランや、どのような仕事をしたいのか、どのような人材になりたいのかを可視化しています。
また、いきなり新しい部署に移るのではなく、自分の仕事の一部を使って他部署のプロジェクトに参加するコラボレーション制度もあります。次のチャレンジにつなげていくための仕組みです」
リスキリングや高度教育への投資も進めています。米谷氏自身も、BBT経営塾の受講後、リベラルアーツ、ノーコードを活用したデジタル実践、英語、生成AIなど、継続的に学び続けています。
「BBT経営塾で学んだことで、学ぶことが自分の中で常態化したのだと思います。連続して受講することも、だんだん当たり前になってきました。そういう意味で、BBT経営塾での学びは非常に大きかったと思っています」
CCIグループの人的資本経営から見えてくるのは、人を管理する対象としてではなく、事業を動かし、地域に価値を生み出す存在として捉える考え方です。そこに、米谷氏が語る「学習する組織」の実践があります。
CCIグループでは、「キャリア自律」を個人の成長施策にとどめず、事業戦略を実行するための経営基盤として位置づけています。事業ポートフォリオと人材ポートフォリオを結びつけ、個の成長と事業成長が循環する人的資本経営を目指しています。
※2026年6月29日特別対談セミナー「営業一筋30年から社長へ――『学習する組織』への変革と集合知の経営実践」資料より抜粋
7. 学び続けることが、周囲の可能性を広げる
セミナーの最後に、米谷氏は、これから経営を担う人や人材開発に関わる人に向けて、学び続けることの意味を語っています。
「私自身、若い頃は、学びに対する意識がそれほど高かったわけではありません。どちらかというと、いかに楽に大学を卒業するか、要領よくやるかを考えていた方でした。ただ、40歳ぐらいになって、もっと大学で勉強しておけばよかったと思うようになりました。そこから、学びに対する意識が変わってきました」
米谷氏は、学び続けることの意味を、次のように語っています。
「学び続けることは、自分の可能性を広げることにつながると思います。それだけではなく、自分が学び続けることで、周囲の人の可能性を広げ、組織を良くすることにもつながると思っています。
自分だけが良くなる、自分だけがバージョンアップするということではない。そういう意識を持っていただけたらいいなと思います」
米谷氏の言葉からは、学びを個人のためだけに閉じない姿勢がうかがえます。
8. BBT経営塾について
BBT経営塾は、経営幹部候補や次世代リーダーを対象とした、Aoba-BBTの経営人材育成プログラムです。2026年秋には第50期を迎え、多くの修了生が経営者や経営幹部として、それぞれの組織で実践を重ねています。
特徴は、知識を学ぶだけでなく、自ら問いを立て、判断し、構想する力を磨く点にあります。限られた情報の中で「自分ならどうするか」を考え、異業種の参加者との議論を通じて、自分の視点を広げていきます。
米谷氏が語った、事実を多面的に捉える視点、集合知を活かす経験、学び続ける姿勢は、BBT経営塾が大切にしている学びのあり方とも重なります。
経営者としての視座を高めたい方、次世代の経営人材を育成したい企業の方は、BBT経営塾のカリキュラムや法人派遣での活用方法を、ぜひ資料でご確認ください。
プロフィール
米谷 治彦 氏
株式会社北國銀行 代表取締役社長
明治大学経営学部卒業後、1993年に北國銀行入行。本店営業部長、東京支店長、執行役員小松営業部長兼CCイノベーション部長、常務執行役員法人部長などを歴任し、2025年より代表取締役社長に就任。2021年にBBT経営塾第39期を受講。その後もAoba-BBTで、リーダーシップ、リベラルアーツ、ノーコードを活用したデジタル実践、ビジネス英語、生成AIなどのテーマを継続的に学んでいる。












